税理士が解説する わかりやすい相続税と贈与税

相続対策でしなくてもいいこと

相続対策という言葉を聞くと、「何か始めなければいけない」「今すぐ準備しないと損をする」そんな気持ちになる方が少なくありません。

しかし最初に考えるべきことは、本当に対策が必要かどうかです。

相続対策は、すべてのご家庭に必須なわけではありません。

■ そもそも相続対策が必要な人とは

相続対策とは将来発生する相続において、

  1. 税負担を最小限に抑え
  2. 必要な納税資金を準備し
  3. 残される家族が遺産分割で争わないように、生前から行う包括的な準備のことです。

相続税には基礎控除があります。

そもそも相続税が発生しない場合など、状況によって不要な節税対策となることがあります。

■一般的な相続対策でも“しなくていい”場合

ここからはよく挙げられる対策について、状況によってはしなくていい例を挙げます。

  1. 生前贈与の活用
    相続対策としてよく使われる制度ですが、相続税がかからない見込みの場合は、そもそも生前贈与を行う必要はありません。

相続税が発生するのかどうか、以下のコラムをご参照ください。
『相続税とはどんな税金?どんなときに発生するの?』

  1. 遺言書の作成
    相続人が配偶者と子 1 人のみ、財産も預金中心で分けやすい場合、必ずしも遺言書が必要とは限りません。

一方で、不動産がある・相続人が複数人いる場合は遺言書を作成しておくことで相続人同士のトラブルの予防につながることがあります。

  1. 生命保険の活用
    資産の分けやすさからよく使われる王道の対策ですが、相続税が発生しない場合や、納税資金が十分にある場合は無理に加入する必要はありません。

加入時点での年齢によっては保険料が節税額を上回ることがあります。

また納税資金調達のために加入しても、途中で現金が必要になった場合に途中解約で元本割れしてしまうケースもあり得ます。

  1. 土地・不動産の有効活用(賃貸化)
    「評価が下がるから」という理由だけでアパートを建てる必要はありません。

不動産の賃貸化に大きな節税効果があるのは確かです。

ただし、空室リスクや修繕コストを考えると税額よりも負担が増える場合もあります。

収益性が伴わない節税は、本末転倒です。

  1. 養子縁組の活用
    基礎控除を増やす目的だけでの養子縁組は、家族関係に影響を及ぼす可能性があります。

節税効果よりも、相続人間の心理的影響の方が大きい場合もあります。

■最後に

正しく節税対策を行うにはまず、財産全体を把握することが第一歩です。

財産を把握し、本当に必要な対策を見極めることが最重要となります。

そのうえで、ご自身やご家族の状況に応じた最適な対策を一つひとつ積み重ねていくことが、円満な相続につながります。