生前贈与とは、存命のうちに相続人に財産を譲渡することをいい、その際には贈与税が発生します。一方で、亡くなってから相続人に財産が引き継がれる相続では相続税が発生します。つまり、「生きているうちに渡す」か「亡くなってから渡す」かの違いで、適用される税金の種類が異なるのです。
一般的には生前贈与よりも相続の方が税金を抑えられると言われています。その主な理由は以下の3つです。
このように相続には制度が多く存在し、結果として税金を抑えられることができます。
相続の方が税金を抑えられるとお伝えしてきましたが、「生前贈与は損」と言い切れるわけではありません。
贈与税の基礎控除額や相続時精算課税制度を活用すると、贈与税を抑えることができ結果として相続税対策にもつながる可能性があります。
このことについてはコラム➤【終活での相続対策!相続時精算課税制度を活用しよう】もご参照ください。
生前贈与の本当の価値は、税金の額だけでは語れません。大きなメリットの一つは、「自分の意思で財産を引き継げる」という点です。相続の場合、財産は法律に従って相続されますが、生前贈与であれば贈与する相手や時期を自分で決めることができ、柔軟な対応が可能になります。
また、相続で土地や建物が複数の相続人で共有されると、売却や活用時に大きな障害になります。生前に名義を整理しておくことで将来のトラブルを未然に防げます。さらに贈与を通じて家族で住まいや財産の活用について話し合う機会が増え、円満な財産承継に繋げていけます。
生前贈与は税金だけで判断してしまうと見落としがちな大きなメリットがあります。「節税にならないから」と一概に避けるのではなく、家族の状況や今後の活用方法も踏まえたうえで検討することが大切です。